出版情報
北大阪に眠る古代天皇と貴族たち ― 記紀万葉の歴史と文学
最近、思うことがあります。私たちは慌ただしい日々に追われているうちに、或いは交通手段が発達してどこにでも行けるようになって、暮らしの基盤となる地域から、どこか離れつつありはしないかと……。不況で生活が苦しくなると、地域の歴史や文化などに目をやる心のゆとりも失われていきます。食べていくことが優先されると、それも仕方がないことなのかもしれません。
しかし、地域に育つ子どもたちにとって、それは本当に後回しにしてしまってよいのでしょうか?自分たちが暮らす地域に、どのような歴史や文化が残されているのかを学ぶことは、子供たちの心に「ふるさと」を育てます。大人になって地域を離れることがあっても、手に入れた「ふるさと」は、なかなか忘れがたいものです。
小さい頃は、地域のお年寄りから昔話などを聞かせていただくのがよいでしょう。しかし、学年があがるにつれて、聞いた話が、いつ、どのような目的で作られ、どのような意味を持つのかを考えられるようになると、昔話ひとつからでも、学術的な目を育てることができます。
何でもわかりやすく、簡単がよいとされる時代ですが、学術的にものを考えようとすると、調べる文献の読み方や考え方を学ぶ必要がでてきます。時には、難しい漢字も読まねばなりませんし、ひとつのことをじっくり考えるためには根気強さも求められます。難しい文章を苦労して読み終えた後には、ささやかな達成感を得ることもできます。
教育という視点から地域を学ぶことは、子どもたちに「ふるさと」を育てるのみでなく、身近な話題が「学術の入り口」へとつながっています。
地域の歴史や文化を学術的に捉えることは、子どもたちはもちろん、実は大人であっても容易なことではありません。生涯の学習テーマとして、これほど身近で、図書館に本さえ揃っていれば、本格的に取り組める話題も少ないと思います。
地域を「学」として捉えることは、なるほど、よく見つめれば見つめるほど、地域を愛した先人たちの考え方を知ることができ、味わい深いものであると感じながら本書を編みました。
83p / 21cm / A5判 ISBN: 9784990417215 価格: ¥525 (税込)
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北大阪に眠る古代天皇と貴族たち―記紀万葉の歴史と文学
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地域を「学」として捉える姿勢は、風土論や観光学を視野に入れて考えるようになりました。
主著
万葉集編纂構想論(共著)
A5判 428頁
ISBN978-4-305-70725-3 C0092
発行年月: 2014/02
本体11,000円+税
万葉集編纂論
A5版 336ページ
出版社: おうふう
ISBN: 978-4273034269(4273034263)
発行年月: 2007/05
本体12,000円+税
大伴家持論―文学と氏族伝統―
A5版 297ページ
出版社: おうふう
ISBN: 978-4273029548(4273029545)
発行年月:1997/5/25
本体18,000円+税
東海の万葉歌(共著)
B6判 246ページ
出版社: おうふう
ISBN:9784273031305(4273031302)
発行年月:2000/07
本体2,500円+税
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